行事・芸術・その他
March 18, 202520:00
January 01, 202506:30
October 31, 202416:00
September 14, 202406:30
初めて新歌舞伎座@上六、大阪へ行きました。
演劇の鑑賞です。上演中は撮影禁止なので開演前に撮影した緞帳です。
緞帳は人間国宝上村淳之画伯の原画「四季花鳥図」です。
さて、鳥の名前は・・・・・似たような鳥はいるのでそれがモデルでしょう。
新歌舞伎座@大阪上六。@8月。

緞帳。


(1)原画製作 上村 淳之画伯
(2)上村淳之画伯コメント
「平城山のアトリエの庭に四季折々訪ねてくる小鳥達をテーマに、そこに
繰広げられる花鳥の世界です。過去、風景画として四季を描いたものは絵巻物として
多く残されていますが、花鳥をテーマとしたものは、ごく稀れであろうかと思います。
余白は銀地一色にし、華やかに展開する世界を描きました。具体空間ではなく象徴化
された世界は日本画独自のもの、私の夢想した世界にお誘いできればとの思いで
あります。」
(3)寸法 天地9.6m、間口23.0m
(4)重量 約800kg
(5)織り方 西陣本綴織(にしじんほんつづれおり)
(6)製作 株式会社川島織物セルコン
新歌舞伎座65周年記念公演の観劇券を友人からいただきました。
時にはこれもありでしょうか。
演劇の鑑賞です。上演中は撮影禁止なので開演前に撮影した緞帳です。
緞帳は人間国宝上村淳之画伯の原画「四季花鳥図」です。
さて、鳥の名前は・・・・・似たような鳥はいるのでそれがモデルでしょう。
新歌舞伎座@大阪上六。@8月。


緞帳。



(1)原画製作 上村 淳之画伯
(2)上村淳之画伯コメント
「平城山のアトリエの庭に四季折々訪ねてくる小鳥達をテーマに、そこに
繰広げられる花鳥の世界です。過去、風景画として四季を描いたものは絵巻物として
多く残されていますが、花鳥をテーマとしたものは、ごく稀れであろうかと思います。
余白は銀地一色にし、華やかに展開する世界を描きました。具体空間ではなく象徴化
された世界は日本画独自のもの、私の夢想した世界にお誘いできればとの思いで
あります。」
(3)寸法 天地9.6m、間口23.0m
(4)重量 約800kg
(5)織り方 西陣本綴織(にしじんほんつづれおり)
(6)製作 株式会社川島織物セルコン
新歌舞伎座65周年記念公演の観劇券を友人からいただきました。
時にはこれもありでしょうか。

August 31, 202406:30
May 31, 202406:30
March 07, 202406:30
東大寺、二月堂でお水取りの行事が始まっています。
夜のお松明に行きたいけど寒いのと人が多いので諦めて昼の行事を少しだけ
見てきました。
*お水取り: 東大寺二月堂で行われる「修二会)」という法会の行事です。
修二会の正式な名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と呼ばれています。
儀式は 心身を清めた「練行衆(11名の僧侶)」が一般の拝観者は見ることが出来ない
二月堂の本尊「十一面観音菩薩」に向かい宝号を唱え、荒行によって過去の罪過を
懺悔し、天下安穏などを祈願するもの です。
修二会は752年から始まり、大火で伽藍が焼け落ちても続けられてきた不退の行法で
今年で1273回目となります 。お水取りは3月12日の深夜から3月13日の未明に
かけておこなわれる儀式で 二月堂前の若狭井という井戸から観音菩薩にお供えする
「お香水」を汲み上げる行事です。(ネット参照)
修二会が行われる二月堂。

お水取りの時だけ掲げる角行灯。
60~80㎏あるお松明。

練行衆は食堂(じきどう)へ走って入り、祈りながら一汁二采の膳を囲みます。

食後、練行衆が退堂する時、生飯(さば)をします。(懐紙に包んだ取り残しご飯を屋根に投げ鳥獣に施食)。カラスがちゃっかり待っています。

食事作法が終わると参籠です。入堂し深夜まで業を行います。

童子による食事の世話。



草履。
お松明の火の粉をはらう箒。
夜のお松明に行きたいけど寒いのと人が多いので諦めて昼の行事を少しだけ
見てきました。
*お水取り: 東大寺二月堂で行われる「修二会)」という法会の行事です。
修二会の正式な名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と呼ばれています。
儀式は 心身を清めた「練行衆(11名の僧侶)」が一般の拝観者は見ることが出来ない
二月堂の本尊「十一面観音菩薩」に向かい宝号を唱え、荒行によって過去の罪過を
懺悔し、天下安穏などを祈願するもの です。
修二会は752年から始まり、大火で伽藍が焼け落ちても続けられてきた不退の行法で
今年で1273回目となります 。お水取りは3月12日の深夜から3月13日の未明に
かけておこなわれる儀式で 二月堂前の若狭井という井戸から観音菩薩にお供えする
「お香水」を汲み上げる行事です。(ネット参照)
修二会が行われる二月堂。


お水取りの時だけ掲げる角行灯。

60~80㎏あるお松明。


練行衆は食堂(じきどう)へ走って入り、祈りながら一汁二采の膳を囲みます。


食後、練行衆が退堂する時、生飯(さば)をします。(懐紙に包んだ取り残しご飯を屋根に投げ鳥獣に施食)。カラスがちゃっかり待っています。


食事作法が終わると参籠です。入堂し深夜まで業を行います。


童子による食事の世話。




草履。

お松明の火の粉をはらう箒。

January 08, 202415:53
January 08, 202415:00
November 22, 202319:22
November 15, 202315:13
September 19, 202306:30
7月15日~9月18日まで 『いざない館@平城京跡』で開催した藪さんの写真展、
嶋田さんのバードカービング展が終わりました。
大勢の方が来場され、中には4回、5回と来られた方もおられ有難かったです。
平城京跡で見られる鳥たちの季節ごとの写真とバードカービンを見て頂いた方から
この狭い範囲でこれだけの鳥がいるのかと驚きの声がありました。
お陰様でトラブル無く終えることが出来て良かったです。
ご来場いただいた方、ご都合でお越しいただけず紹介など支援していただいた方に
厚く御礼申し上げます。
私も少しではありますがお手伝いをさせていただき多くの人たちと接し、楽しいひと時
を過ごさせていただき大変感謝しています。
重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました

嶋田さんのバードカービング展が終わりました。
大勢の方が来場され、中には4回、5回と来られた方もおられ有難かったです。
平城京跡で見られる鳥たちの季節ごとの写真とバードカービンを見て頂いた方から
この狭い範囲でこれだけの鳥がいるのかと驚きの声がありました。
お陰様でトラブル無く終えることが出来て良かったです。
ご来場いただいた方、ご都合でお越しいただけず紹介など支援していただいた方に
厚く御礼申し上げます。
私も少しではありますがお手伝いをさせていただき多くの人たちと接し、楽しいひと時
を過ごさせていただき大変感謝しています。
重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました

August 31, 202306:30
平城京跡、いざない館で開催中の薮さんの野鳥写真展は終盤です。
TV、新聞、SNSで紹介されたこともあり大勢の来場者で賑わっています。夏休みに
見て頂きたかった小中学生、幼稚園児も含め多数来場され、皆さん、時間をかけ鑑賞
されています。
中には4度も来られた人などリピーターの方も多く見受けられます。
開催は9月18日(日・祝)迄で時間のある方は是非お越しください。
以下、写真による途中経過の報告です。
展示は飽きないよう季節の流れに沿って大中小の写真を組み合わせて展示しています。
嶋田さんのバードカービング、中学生によるツバメの生態紹介展示もあります。
会場内。



展示作品の一部。
オオヨシキリ。
ヒバリ。
ケリ。
嶋田さん作製のカービング&アートペインティング。
エナガ。ルリビタキ。
フクロウ。
TV、新聞、SNSで紹介されたこともあり大勢の来場者で賑わっています。夏休みに
見て頂きたかった小中学生、幼稚園児も含め多数来場され、皆さん、時間をかけ鑑賞
されています。
中には4度も来られた人などリピーターの方も多く見受けられます。
開催は9月18日(日・祝)迄で時間のある方は是非お越しください。
以下、写真による途中経過の報告です。
展示は飽きないよう季節の流れに沿って大中小の写真を組み合わせて展示しています。
嶋田さんのバードカービング、中学生によるツバメの生態紹介展示もあります。
会場内。




展示作品の一部。
オオヨシキリ。

ヒバリ。

ケリ。

嶋田さん作製のカービング&アートペインティング。

エナガ。ルリビタキ。

フクロウ。

August 22, 202306:30
August 19, 202321:00
January 07, 202317:18
January 01, 202300:00
October 24, 202206:30
近所に浮遊体アートの制作工房があります。
特殊樹脂で作成したクラゲを見ていると飽きません。不思議な世界です。
特殊樹脂で作成したクラゲを見ていると飽きません。不思議な世界です。
July 05, 202218:20
近隣で野鳥撮影を続けている知り合いの先生が発刊された詩集「南都憂愁」を
紹介します。
氏は、大学を退官され 今は閑適な生活をされていて我々と共に野鳥撮影を
楽しまれています。
☆詩集「南都憂愁」 山添孤鹿。発行所:奈良新聞。21年12月。
南都憂愁目次。(100ページほどの詩集です。)
一、順番のない行列
二、巣落ち雛
三、春日奥山

☆詩集について、22年7月1日付の「奈良新聞」に詩人・文芸評論家の「倉橋健一」氏が
詩評を投稿しています。以下、掲載します。(一部、省略も考えましたが意図が伝わらない
かと思い投稿全文を掲載。)
『南都憂愁』(山添孤鹿)をそのまま額面通りに受け取るなら、今日の奈良にあって、失われ
つつあるいにしえの都の面影を愁い悲しんで、ということにでもなるだろうか。その点では、
たしかに、和辻哲郎の『古寺巡礼』や堀辰雄の『大和路』などとは、接し方がひと味ちがう。
作者は奈良生まれの今も奈良に住みつづける人であり、おまけに二十世紀アメリカ文学
の研究者とあって、いわば内の人でありながら、たっぷり外界の空気を吸ってきた人である。
そんな人が、二十世紀後半から二十一世紀へと相渉(あいわた)って、折にふれてじかに
歩きながら、移りゆく古都にたいする、掛値なしの愛惜を注いだのが、この一冊といいうる。
あえてレクイエム詩集といってよいと思う。
冒頭の「東大寺南大門金剛力士像」を読む。この段階までは、私はこの詩集を、故郷人
であることを信じて疑わなかった。ところがこの詩、終連にきて、〈写真機を、いじりながら
焦点が合わないと / 状況把握を疎(おろそ)かに〉と、苛立っている自分自身をそのまま
覗(のぞ)かせる。こうなると、私のほうも先入観を捨てねばならなくなる。むしろ幼い時
から培った、故郷と一体化した調和が失われていくことへの、痛烈な悔恨の情がテーマ
として浮かびあがる。
たとえば「椋鳥(むくどり)の怨嗟(えんさ)」では、天平の世にあって、良田百万町歩の
開墾計画を立案するなどすぐれた能力を発揮しながら謀反の疑いをかけられ、死に追い
込まれた長屋王の館があった地域に、いつのまにか警察本部が移ってきたことにたい
する、ここを塒(ねぐら)に長く棲みついてきた椋鳥の嘆きがうたわれる。
同じように「南都夕景色」では、高層住宅建設計画や大規模商店建設によって居場所を
奪われる森青蛙が登場する。あるいは幼虫期にカマキリなどに捕食されて、逆にその体内
で成虫になるという針金状の細長いかたちをした針金虫が登場する「宮址残影」など、
こうなってくるともう南都憂愁の詩集名にひたってばかりにはいかない。変幻自在の形相
さえ帯びる。
ここまで来ると、私などはもう何いうともなく、戦前にあった日本的なものへの回帰を
呼びかけた「日本浪曼派」を主導した保田與重郎などがかさなってきた。当時国家主義が
奨励した古典の流行と結びついたために、戦後はいろいろ批判もされてきたが、そうでは
ない。
大和に軸足をおいて米づくりをベースにした祭りの生活に着目したのが、彼の思想の根底で
あった。
言葉をかえれば、自然に逆らわずに自然に寄り添うところに、日本人の心性を見たのだった。
そうでなくとも『俳句歳時記』など見て、よくもここまでまあと、その小まめさに思うこと
がある。たとえば「穴まどひ」など。晩秋になってもまだ穴に入らない蛇のこと。「冬の虫」
「冬の蝶」「冬の蜂」など同じ類(たぐい)だが、日本人の自然に対する寄り添えかたは、
とことんきめこまかくやさしい。この詩集に登場する小動物たちも、同じ位置に居る。
その一方で、私は折口信夫の『死者の書』も思った。独自な古代回帰の幻想小説で
〈したした〉〈こうこうこう〉など、オノマトペが霊界の声としてつかわれるが、「藤と三光鳥」
など読んで三光鳥のとらえ方など見ていると、いつか『死者の書』にかさなっている自分に
気づかされた。
〈ツキー ヒー ホシー ホイ ホイ ホイ / ホイガイ イガイ ソウテイ イガイ
イントク / ツキー ヒー ホシー ホイ ホラ ホイ ホイ / スウチ ウチウチ
チッ チリ ホラ ホイ ホイ〉
五連の全部。もともと三光鳥は神の使者で、三光とは月、日、星をあらわす。この鳥、すでに
絶滅に瀕(ひん)しているという。とすれば、この連もあらかしの察しはつこう。
という具合でこの一冊、ふらふら持って歩いてガイドブックにするほど、やわな詩集では
ない。
現代詩集としても、奇観本といっていいほど、ユニークで魅力的な一冊に仕上がっている。 (詩人、文芸評論家 倉橋健一)
☆他に奈良新聞に山添孤鹿氏の紹介記事があったので掲載します。
(以下、奈良新聞記事より。)
地元愛に満ちた24の詩想。
奈良市在住の山添孤鹿(やまぞえ・ころく)氏による「詩集 南都憂愁」を発刊しました。
平城宮跡や東大寺、薬師寺、法隆寺をはじめ地元・奈良の名所・旧跡・社寺などを舞台に、
椋鳥(むくどり)、鷭(ばん)、燕、長元坊(ちょうげんぼう)など多数の野鳥や動物を登場させて、
地元愛に満ちた詩想を展開しています。各種の年中行事も取り上げ、歴史的、文化的な
背景を追うだけでなく、社会派的な視点で対象に切り込んでいます。
3章24編の作品からなり、各章の扉には著者撮影の美しいカラーの風景写真が6点添え
られ、読者がまるで古都に居るような臨場感を与えてくれています。
著者は本名・山田武雄。関西学院大学名誉教授。アメリカ文学専攻の文学博士で、20世紀
詩人 ロバート・フロスト研究で知られます。
☆詩集を読んで(厚かましくも私の感想です)。
本詩集は いにしえの都(東大寺、平城京など)と現代の都を比喩され、面白く
纏められています。小生が日頃、野鳥観察で訪れる場所でもあり、読んでいくとその
風景が浮かび、現世の批判と思われる箇所や滑稽な微妙な描写も出てきて、にやりと
しながら読みました。
日頃、まじめに野鳥を撮影されながら、野鳥やその他(人)の行動に氏の思いが入り
混じっていると感じました。
紹介します。
氏は、大学を退官され 今は閑適な生活をされていて我々と共に野鳥撮影を
楽しまれています。
☆詩集「南都憂愁」 山添孤鹿。発行所:奈良新聞。21年12月。
南都憂愁目次。(100ページほどの詩集です。)
一、順番のない行列
二、巣落ち雛
三、春日奥山

☆詩集について、22年7月1日付の「奈良新聞」に詩人・文芸評論家の「倉橋健一」氏が
詩評を投稿しています。以下、掲載します。(一部、省略も考えましたが意図が伝わらない
かと思い投稿全文を掲載。)
『南都憂愁』(山添孤鹿)をそのまま額面通りに受け取るなら、今日の奈良にあって、失われ
つつあるいにしえの都の面影を愁い悲しんで、ということにでもなるだろうか。その点では、
たしかに、和辻哲郎の『古寺巡礼』や堀辰雄の『大和路』などとは、接し方がひと味ちがう。
作者は奈良生まれの今も奈良に住みつづける人であり、おまけに二十世紀アメリカ文学
の研究者とあって、いわば内の人でありながら、たっぷり外界の空気を吸ってきた人である。
そんな人が、二十世紀後半から二十一世紀へと相渉(あいわた)って、折にふれてじかに
歩きながら、移りゆく古都にたいする、掛値なしの愛惜を注いだのが、この一冊といいうる。
あえてレクイエム詩集といってよいと思う。
冒頭の「東大寺南大門金剛力士像」を読む。この段階までは、私はこの詩集を、故郷人
であることを信じて疑わなかった。ところがこの詩、終連にきて、〈写真機を、いじりながら
焦点が合わないと / 状況把握を疎(おろそ)かに〉と、苛立っている自分自身をそのまま
覗(のぞ)かせる。こうなると、私のほうも先入観を捨てねばならなくなる。むしろ幼い時
から培った、故郷と一体化した調和が失われていくことへの、痛烈な悔恨の情がテーマ
として浮かびあがる。
たとえば「椋鳥(むくどり)の怨嗟(えんさ)」では、天平の世にあって、良田百万町歩の
開墾計画を立案するなどすぐれた能力を発揮しながら謀反の疑いをかけられ、死に追い
込まれた長屋王の館があった地域に、いつのまにか警察本部が移ってきたことにたい
する、ここを塒(ねぐら)に長く棲みついてきた椋鳥の嘆きがうたわれる。
同じように「南都夕景色」では、高層住宅建設計画や大規模商店建設によって居場所を
奪われる森青蛙が登場する。あるいは幼虫期にカマキリなどに捕食されて、逆にその体内
で成虫になるという針金状の細長いかたちをした針金虫が登場する「宮址残影」など、
こうなってくるともう南都憂愁の詩集名にひたってばかりにはいかない。変幻自在の形相
さえ帯びる。
ここまで来ると、私などはもう何いうともなく、戦前にあった日本的なものへの回帰を
呼びかけた「日本浪曼派」を主導した保田與重郎などがかさなってきた。当時国家主義が
奨励した古典の流行と結びついたために、戦後はいろいろ批判もされてきたが、そうでは
ない。
大和に軸足をおいて米づくりをベースにした祭りの生活に着目したのが、彼の思想の根底で
あった。
言葉をかえれば、自然に逆らわずに自然に寄り添うところに、日本人の心性を見たのだった。
そうでなくとも『俳句歳時記』など見て、よくもここまでまあと、その小まめさに思うこと
がある。たとえば「穴まどひ」など。晩秋になってもまだ穴に入らない蛇のこと。「冬の虫」
「冬の蝶」「冬の蜂」など同じ類(たぐい)だが、日本人の自然に対する寄り添えかたは、
とことんきめこまかくやさしい。この詩集に登場する小動物たちも、同じ位置に居る。
その一方で、私は折口信夫の『死者の書』も思った。独自な古代回帰の幻想小説で
〈したした〉〈こうこうこう〉など、オノマトペが霊界の声としてつかわれるが、「藤と三光鳥」
など読んで三光鳥のとらえ方など見ていると、いつか『死者の書』にかさなっている自分に
気づかされた。
〈ツキー ヒー ホシー ホイ ホイ ホイ / ホイガイ イガイ ソウテイ イガイ
イントク / ツキー ヒー ホシー ホイ ホラ ホイ ホイ / スウチ ウチウチ
チッ チリ ホラ ホイ ホイ〉
五連の全部。もともと三光鳥は神の使者で、三光とは月、日、星をあらわす。この鳥、すでに
絶滅に瀕(ひん)しているという。とすれば、この連もあらかしの察しはつこう。
という具合でこの一冊、ふらふら持って歩いてガイドブックにするほど、やわな詩集では
ない。
現代詩集としても、奇観本といっていいほど、ユニークで魅力的な一冊に仕上がっている。 (詩人、文芸評論家 倉橋健一)
☆他に奈良新聞に山添孤鹿氏の紹介記事があったので掲載します。
(以下、奈良新聞記事より。)
地元愛に満ちた24の詩想。
奈良市在住の山添孤鹿(やまぞえ・ころく)氏による「詩集 南都憂愁」を発刊しました。
平城宮跡や東大寺、薬師寺、法隆寺をはじめ地元・奈良の名所・旧跡・社寺などを舞台に、
椋鳥(むくどり)、鷭(ばん)、燕、長元坊(ちょうげんぼう)など多数の野鳥や動物を登場させて、
地元愛に満ちた詩想を展開しています。各種の年中行事も取り上げ、歴史的、文化的な
背景を追うだけでなく、社会派的な視点で対象に切り込んでいます。
3章24編の作品からなり、各章の扉には著者撮影の美しいカラーの風景写真が6点添え
られ、読者がまるで古都に居るような臨場感を与えてくれています。
著者は本名・山田武雄。関西学院大学名誉教授。アメリカ文学専攻の文学博士で、20世紀
詩人 ロバート・フロスト研究で知られます。
☆詩集を読んで(厚かましくも私の感想です)。
本詩集は いにしえの都(東大寺、平城京など)と現代の都を比喩され、面白く
纏められています。小生が日頃、野鳥観察で訪れる場所でもあり、読んでいくとその
風景が浮かび、現世の批判と思われる箇所や滑稽な微妙な描写も出てきて、にやりと
しながら読みました。
日頃、まじめに野鳥を撮影されながら、野鳥やその他(人)の行動に氏の思いが入り
混じっていると感じました。
January 14, 202206:30
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