野鳥の会奈良支部の上山さんを中心にしたメンバーが1年間、平城宮で野鳥調査を行った
記録が新聞に掲載されていたので紹介します。

 (以下、毎日新聞、2017.9.27付け)

         平城宮跡:コアジサシなど希少種飛来 国に配慮要望

   国特別史跡で世界遺産の平城宮跡(奈良市)を日本野鳥の会奈良支部が初めて調査
  したところ、環境省レッドリストで絶滅危惧2類に指定されているコアジサシなど希少種を
  含む野鳥50種以上の飛来が確認された。
  平城宮跡は国営歴史公園として整備する工事が進められているが、市街地に残る広大な
  緑地が野鳥の楽園と分かり、同支部は生態系などへの配慮を国側に求めている。

  平城宮跡では文化庁が2010年、平城遷都1300年祭に合わせて第1次大極殿を建設した。
  国土交通省も大極殿前に広場を造るなど、約132ヘクタールを公園区域として開発している。
  今後、第1次大極殿の周囲に回廊や南門を復元整備するほか、既にある朱雀門の南東には
 展示館を作る計画だ。

  元は田畑が広がっていた平城宮跡には、草に覆われた広大な緑地が残り、多くの野鳥が
  生息している。
  公園化事業で環境が変化する恐れがあることから、同支部は昨年7月から今年6月にかけ
  調査した。
  会員約20人が毎月1回、午前9時〜正午の3時間、目視や鳴き声で鳥の種類や飛来数を
  計測する方法で、52種延べ3960羽を確認した。

  カモメ科のコアジサシは、宮跡の南西側で10羽が営巣していることが判明。環境省レッド
  リストで準絶滅危惧種とされるヒクイナ3羽を東端と西端で見つけた。このほか、県レッドデータ
  ブックで絶滅危惧種とされるクイナやコミミズクも1羽ずつ確認した。

  同支部幹事の上山義之さん(74)は「これほど多様な野鳥がいるとは思わなかった。農薬
  などの影響で周辺の農地で餌が捕りにくくなり、平城宮跡が相対的に生息しやすい環境になっ
 ているのだろう」と話す。

  同支部は8月に調査結果を国交省国営飛鳥歴史公園事務所平城分室に提出し、整備に伴う
 草刈りの時期など野鳥への配慮を要望。同分室は「野鳥の会からの意見も踏まえて適切に除草
 したい」としている。 【伊澤拓也】